国外扶養親族の要件が変わります

【はじめに】

今年(令和4年)も残りわずかとなりました。
まもなく新しい年を迎えようとしています。
令和5年は税制面で大きな改正が入ります。
一つは令和5年10月からのインボイス制度の導入。
そしてもう一つ大きいのが、国外扶養親族の扶養の要件の厳格化です。
日本で働く外国人労働者の方にとってはご自身の税額に大きな影響を及ぼす重要な改正です。
2年前にすでにお伝えした内容ですが、改めてご説明したいと思います。

【今までの要件】

国外にいる親族を扶養する方は、年末調整の際、その扶養親族に係る「親族関係書類」と「送金関係書類」を勤務先に提出しなければいけません。
平成27年の改正でそのようになりました。
この送金関係書類は、国外扶養親族一人ひとりに送金したことを証明するものでなければなりません。

国外居住親族に係る扶養控除等Q&A Q24参照

奥さんや子供や親を祖国に置いて、日本に出稼ぎに来ている外国人労働者の方にとっては大変厳しい要件です。
例えば、奥さん一人に生活費をまとめて送金するだけでは、子供や親を扶養に入れることはできません。
高い外国送金の手数料を払って、各子供や各親それぞれに生活費を送金しなければいけません。


ただ、今まで(令和4年まで)は送金の金額の要件はありませんでした。
たとえ少ない金額であっても生活費として送金していれば、その家族を扶養に入れることができました。

令和5年からは、これに金額の要件が追加されることになります。

【金額の要件が追加】

Q&Aに載っている下の図がわかりやすいです。

16歳未満の親族は元々扶養にはなりません。
30歳未満、70歳以上の国外扶養親族は今まで通り金額の要件が不要です。
30歳以上、70歳未満の国外扶養親族に限り、金額等の要件が追加されます。

簡潔に言うと、
「外国にいる30歳以上70の親族を扶養に入れる場合には、その親族に年間で38万円以上を送金しなければいけなくなる。」
こういうことです。

30歳未満の親族は送金金額の要件がありませんから、お子様が海外留学している方に関してはほぼ影響が無いと思います。

影響があるのは、日本人では無くむしろ外国人労働者の方です。

【一番影響が大きいのは?】

奥さんを祖国に残して、ご主人だけ日本で働いている外国人労働者はあまり多くないかもしれません。
一番多いのは、外国人労働者が祖国にいる親御さんを扶養に入れているケースです。
外国人は家族との繋がりを大事にする方が多いので、親御さんを扶養に入れている方は多く見受けられます。

今までは金額の要件がなかったので
38万円に満たない金額の送金でも、祖国にいる70歳未満の親御さんを扶養に入れることができました。
今後は、年間送金額38万円以上でないと扶養に入れることができなくなります。
38万円というのは、かなりハードルが高いです。
1ヶ月分の給料を超えてしまう方が多いでしょうから。
令和5年度以降は、多くの外国人労働者の方が親御さんを扶養に入れることを断念せざるをえない状況になると思います。

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