令和8年4月より改正
少額減価償却資産の特例に大きな変更がありました。
これまで「30万円未満」だった取得価額の判定基準が、「40万円未満」へと10万円引き上げられました。
税制改正大綱の通り、令和8年4月1日以後に取得し、事業の用に供した減価償却資産から40万円未満の新上限が適用されます。
(令和8年3月31日特別号外第17号にて交付、施行済。)
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象資産を取得価
https://www.kanpo.go.jp/20260331/20260331t00017/20260331t00017full00010320f.html
額が四十万円未満(改正前:三十万円未満)である減価償却資産とした上、その適用期限を三
年延長する
「少額=30万円」という感覚で長年実務を行ってきた私にとっても、記憶のアップデートが必要な大きな改正です。
この30万円基準は2003年度(平成15年度)の創設以来、約23年も続いてきましたので、会計に関わる方には感慨深い改正ではないでしょうか。
今回の引き上げは、近年の物価高騰に配慮したものです。
同様に、物価高騰への対応として以下のような改正も続いています。
- 交際費の除外基準:飲食代1人あたり5,000円 → 10,000円(令和6年改正)
- 所得税・住民税の各種控除の見直し
- 食事補助(まかない)の非課税枠:月額3,500円 → 7,500円(予定)
これらの一連の流れを汲んだ、待望の改正と言えます。
合計限度額300万円は据え置き
個々の資産の判定基準は40万円に緩和されましたが、年間の合計限度額「300万円」は変わりません。
できればこちらも400万円程度まで引き上げてほしかったところですが、現時点では据え置きとなっています。
実務においてはこの「300万円の壁」がこれまで以上に重要になります。
1件あたりの単価が上がるため、これまで以上に合計300万円に達しやすくなるからです。
例えば、35万円のPCを9台購入すると、それだけで315万円となり、上限を超えてしまいます。
上限を超える場合は、従来どおり取得資産について「少額・一括償却資産・通常の減価償却資産」のいずれかの選択が必要になります。
改正の影響
上限が40万円になったことで、一括で経費計上(即時償却)できる選択肢が広がります。
事務所設備や什器備品など、40万円未満の枠を活用した節税対策の提案がしやすくなります。
以下、新たに少額の減価償却資産に該当することとなる資産の具体例です。
- ハイスペックPC
昨今のPC価格の上昇により、クリエイティブな仕事などで必要とされるハイスペックPCは30万円を超えるのが当たり前になりました。 - 業務用バイク
新聞販売店など特定の業種で重宝されるスーパーカブなどの業務用のバイクも、30万円を超えるケースが増えています。
(スーパーカブ50は2025年に生産終了となりました。)
運用の注意点
改正後も、以下のルールに注意が必要です。
- 対象者の制限
対象となるのは資本金1億円以下の中小企業者等です。(大企業の子会社などは対象外)
従業員基準は500人以下から400人以下に引き下げられました。 - 消費税の経理処理による判定の違い
税抜経理:税抜価格で40万円未満か判定
税込経理:税込価格で40万円未満か判定
※税抜経理の方が有利です。
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象となる事
https://www.kanpo.go.jp/20260331/20260331t00017/20260331t00017full00010320f.html
業者の範囲を特定法人以外の事業者については常時使用する従業員の数が四百人以下(改
正前:五百人以下)の事業者とする。
まとめ
今回の改正は、実務の現場感覚にようやく法制度が追いついた印象です。
しかし、「単価は上がったが、総額の枠は変わっていない」という点は、決算対策において思わぬ落とし穴になるかもしれません。
新しい基準を正しく理解し、計画的な資産購入をサポートしていきたいと思います。


