消費税の還付と法人税の納付を相殺する方法

はじめに

輸出業を営んでいる会社の多くは、売上が輸出免税となるため、仕入れにかかった消費税が還付になります。
一方で、利益が出ていれば、法人税等は納付しなければなりません。

このような場合に、「消費税の還付金と法人税等の納付額を相殺できないのか?」という疑問が出てきます。

結論からいうと、一定の手続きをすれば、消費税の還付金を法人税・地方法人税の納付に充当することができます。

関与先で実際このような事例がありましたので、以下、経験を踏まえてご説明します。

消費税の還付には時間がかかる

輸出業の場合、消費税の還付額がかなり大きくなります。
ただ、消費税の還付申告をしたからといって、すぐに還付金が振り込まれるわけではありません。
還付申告の場合は、税務署による審査が行われるため、還付金が入金されるまでに3か月以上かかることもあります。

その一方で、法人税等の納付期限は申告期限と同じです。

還付金が入ってくるまで待ってから法人税を納付できれば資金繰り上は楽なのですが、実際にはそういうわけにはいきません。

地方税では、予定納税をしていたため還付、均等割だけ納付というケースは頻繁にあります。
この場合、均等割は還付金と相殺され、差額だけが還付されます。
そこで今回、「国税でも同じようなことができるのではないか」と思い、確認の上、手続きを行いました。

その結果、消費税の還付金を法人税・地方法人税の納付に充当することができました。

手続き

具体的な数字を用いてご説明します。(実際の数字ではありません。)

・法人税 100万円納付
・地方法人税 10万円納付
・法人県民税・事業税等 〇〇万円納付
・法人市民税 〇〇万円納付
・消費税(地方消費税を含む) 150万円還付

この場合、法人税と地方法人税の合計110万円について、消費税の還付金から充当することができます。

したがって、法人税・地方法人税については実際に納付する必要がなく、消費税の還付額150万円から110万円を差し引いた40万円が還付されることになります。

一方、法人県民税、法人市民税、事業税などの地方税については、消費税の還付金を充当することはできません。
こちらは通常どおり納付する必要があります。

充当を希望する場合は、税務署に「充当の申出書」を提出する必要があります。
根拠となるのは、国税通則法第57条です。

今回のケースでは、充当の申出書を作成し、法人税の申告書に添付して電子申告で提出しました。
国税庁が定めた専用の様式があるわけではないため、任意の様式で作成しました。

記載したのは、主に次のような内容です。

  • 会社名
  • 充当を希望する還付金
  • 充当する国税の種類・金額

効果

充当が行われると、法人税・地方法人税については、充当した金額を納付したものとして扱われます。

そのため、今回のように納付額と還付額を相殺することで、法人税・地方法人税の実際の納付額を0円にすることができます。

また、期限内に納付した場合と同じ扱いになるため、充当された金額について延滞税が発生することもありません。

ただし、これはあくまでも申告した還付額がそのまま認められることを前提としています。

審査の結果、最終的な還付額が申告額より減額された場合には、充当された金額の一部について納付不足が生じ、延滞税が発生する可能性があります。

この点についてはあらかじめご承知置きください。

当事務所では、輸出免税の適用を受けている会社の顧問や消費税還付申告も複数取り扱っています。
輸出業を営んでいる会社で、消費税の還付や法人税等の資金繰りについてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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