突然の解散
令和8年1月23日、衆議院が解散されました。今後、解散総選挙が行われます。
選挙を前に、自民・維新・中道等が、食料品の消費税減税を主張しています。
その他の政党もみらいを除けば、概ね減税を主張しています。
「みんな減税に賛成なら、解散なんかせずに今すぐ決めればいいのでは」と思わなくもありませんが、それはさておき。
この食料品の消費税減税について、SNS上では
「飲食店に悪影響が出る」
「飲食店にとっては実質的な増税だ」
といった意見を多く見かけます。
その指摘は、ある意味では正しいのですが、同時に誤解されている点も多いように感じます。
そこで今回は、数字を用いて、飲食店の消費税について、できるだけ分かりやすく説明したいと思います。
消費税の仕組み
飲食店は、お客様から預かった消費税から、仕入やその他の経費にかかる消費税を差し引いた残額を、税務署に納めます。
具体例で見てみましょう。
(分かりやすくするため、仕入はすべて軽減税率8%の食料品、原則課税を適用しているものとします。)
【飲食店の現状(税込経理)】
① 売上 1,100万円(うち消費税10%:100万円)
② 仕入 432万円(うち消費税8%:32万円)
③ 租税公課(消費税)68万円
④ 利益(①-②-③)600万円
消費税の納税額は、
100万円 − 32万円 = 68万円 となります。
食料品の消費税がゼロになると
では、仮に食料品の消費税がゼロになった場合を考えてみます。
【食料品の消費税がゼロ(税込経理)】
① 売上 1,100万円(うち消費税10%:100万円)
② 仕入 400万円(うち消費税0%:0円)
③ 租税公課(消費税)100万円
④ 利益(①-②-③)600万円
消費税の納税額は、
100万円 − 0円 = 100万円 となります。
このように、食料品の消費税がゼロになると、消費税の納税額が増える のは事実です。
そのため、「食料品の消費税がゼロになると飲食店が潰れる」「飲食店にとっては増税だ」と主張する方がいるわけです。
しかし、ここで注目していただきたいのは 利益 です。
現状でも、食料品の消費税がゼロになった後でも、
利益は 600万円で変わっていません。
消費税の納税額は増えていますが、その分、仕入に含まれていた消費税がなくなり、仕入金額自体が減っているからです。
つまり、年間を通して見れば、食料品の消費税がゼロになっても、飲食店の利益自体には影響しない ということです。
消費税というものは、原則として会社の損益には影響しません。
※非課税売上が多い場合等、損益に影響が出るケースもありますが、今回は説明を省きます。
資金繰りが重要
理論上、食料品の消費税の減税が損益に影響しないことは、ご理解いただけたかと思います。
ただし、実務的には、消費税の納税額が増えることが資金繰りに大きな影響を与える のも事実です。
決算が終わってから
「えっ、消費税そんなに払うの!?払えない・・・」
という飲食店が続出する可能性も十分にあります。
そうならないために、税理士としては、
消費税の納税見込額をできるだけ早い段階でお伝えし、
計画的に納税資金を準備していただくことが重要だと考えています。
銀行によっては、消費税の納期限に合わせて満期を設定できる積立制度があります。
そのような制度が無い場合も、一般の定期積金で対応可能だと思います。
また、フランチャイズ店では、本部がそのような消費税積立制度を用意しているケースもあります。
さらに、国税庁が予納ダイレクトという制度を用意しています。
こうした仕組みを活用し、消費税の納税資金を事前に確保しておくことが極めて重要 だと考えます。


