思い込みは危険
今まさに支払調書合計表の作成の真っ最中です。
長年実務をやっていると、家賃の支払調書(不動産の使用料等の支払調書)については
「相手(貸主)が法人なら提出不要」
という取扱いが体に染み付いており、当たり前のこととして処理している方も多いと思います。
ただ、念のため改めて制度を確認してみることにしました。
国税庁のサイトを確認
国税庁のサイト
「No.7441 不動産の使用料等の支払調書の提出範囲等」
を確認すると、次のような記載があります。
ただし、法人(人格のない社団等を含みます。以下同じ)に支払う不動産の使用料等については、賃借料を除く権利金、更新料等が対象となります。
したがって、法人に対して、家賃や賃借料のみを支払っている場合は、支払調書の提出は必要ありません。
この記載から、
法人に対する家賃・賃借料のみの支払いであれば、金額の多寡にかかわらず、支払調書の提出は不要
であることが明確に読み取れます。
一方で、
「賃借料を除く権利金、更新料等が対象となります」
とも記載されています。
つまり、
相手が法人であっても、権利金や更新料については支払調書の提出が必要
ということになります。
権利金とは
ここで新たな疑問が湧きます。
「更新料は分かるけど、権利金とは何か?」
権利金についても、国税庁のサイトに次のような説明があります。
(1) 地上権、地役権の設定あるいは不動産の賃借に伴って支払われるいわゆる権利金(返還を要しないこととなる敷金等を含みます。)、礼金
権利金とは、
将来返還されることのない一時金であり、
保証金や敷金(返還される前提の預り金)とは性質が異なります。
特に、店舗など事業用不動産の賃貸借契約では、
「権利金」が設定されているケースをよく見かけます。
「礼金」は住宅の賃貸借契約でも一般的なので、説明は不要だと思います。
まとめ
整理すると、次のとおりです。
- 返還される保証金・敷金
→ 支払調書の提出不要 - 返還されない権利金、敷金償却、礼金、更新料等
→ 同一の相手に対する支払金額の合計が 15万円を超える場合 は、
相手が法人であっても支払調書の提出が必要
これは意外に盲点になりやすいポイントかもしれません。
そもそも支払調書は、
支払先がその金額を収入(売上)として計上しているかどうかを確認するための制度です。
そのため、売上にならない保証金や敷金が対象外となるのは、制度趣旨から見ても自然な取扱いといえます。
「相手が法人なら家賃の支払調書は不要」
という理解は一部正しいものの、
- 権利金
- 礼金
- 更新料
については、相手が法人であっても提出対象になる点には注意が必要です。


