台湾親会社への借入利子に関する税務上のポイント

海外の親会社から借入をする場合の注意点

海外に親会社を持つ日本法人が、その海外の親会社から借入を行うケースは、実務上よく見られます。
このような場合、税務上いくつか注意すべきポイントがあります。

  1. 過少資本税制の適用を受けないようにすること
  2. 利子を適正な金額で設定すること
  3. 利子について源泉徴収を行うこと

以下、それぞれについて簡単に説明します。


1.過少資本税制について

過少資本税制とは、海外の親会社等からの借入金が、一定の基準を超えて多額である場合に、支払利息の損金算入が制限される制度です。

原則として、
国外親法人等からの借入金が、資本金等の3倍を超える場合、その部分に対応する利息については、損金に算入できません。

そのため、借入金額が過大にならないよう、資本金とのバランスに注意する必要があります。
(※金融機関など、特定の業種については基準が異なります。)


2.利子の適正額について

借入利子が、

  • 著しく低い(無利息など)
  • あるいは著しく高い

といった場合には、移転価格税制過大支払利子税制が問題となる可能性があります。

金銭消費貸借契約書をきちんと整備することはもちろん、
市場金利と大きく乖離しない利率を設定することが重要です。


3.利子の源泉徴収について

海外の親会社に対して借入利子を支払う場合、その利子については日本で源泉徴収が必要となります。

支払利子から源泉所得税を控除し、日本の税務署へ納付しなければなりません。
その税率は、原則として20.42%です。

今回は、特にこの 3.の源泉徴収 について、台湾のケースを中心に解説します。

租税条約に関する届出書

海外の親会社からの借入利子について、原則20.42%の源泉徴収が必要であることは先に述べたとおりです。

もっとも、日本と相手国との間に借入利子に関する租税条約が締結されている場合、一定の要件を満たすことで、この20.42%よりも低い税率(軽減税率)が適用されます。

軽減税率は国によって異なり、例えば、

  • アメリカ:0%
  • 中国:10%

といった定めがあります。

借入利子について、租税条約に基づく軽減税率の適用を受けるためには、
「租税条約に関する届出書」を、原則として利子の支払前に所轄税務署へ提出する必要があります。

相手が台湾の場合

ここからが本題です。

通常であれば「租税条約に関する届出書」を提出することになりますが、
相手が台湾の場合には事情が異なります。

提出すべき書類は、「租税条約に関する届出書」ではなく

外国居住者等所得相互免除法に関する届出書

となります。

(この届出書を提出すると、台湾親会社からの借入利子の源泉について、軽減税率10%を適用することができます。)

相手が台湾であるにもかかわらず「租税条約に関する届出書」を提出すると、
税務署から書類の差し替えを求められることになります。
私自身、実際にその経験があります。

両者の書類は内容的にはほぼ同じですが、名称と根拠法令が異なります。

では、なぜ台湾の場合だけ扱いが異なるのでしょうか。

理由はシンプルで、
日本は台湾を国家として承認していないため、「租税条約」という国家間の条約を締結できないからです。

その代わり、日本と台湾との間では、

「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための
公益財団法人交流協会と亜東関係協会との間の取決め」

が存在し、
これに対応する国内法として 「外国居住者等所得相互免除法が整備されています。

台湾の場合は、この法律に基づいて届出書を提出し、軽減税率の適用を受けることになります。

納付と合計表の提出

台湾親会社からの借入利子について、軽減税率10%の適用を受けるためには
「租税条約に関する届出書」ではなく
「外国居住者等所得相互免除法に関する届出書」
を提出する必要があることは、ご理解いただけたかと思います。

ただし、この書類を提出すればすべて終わり、というわけではありません。
その後、次の手続きが必要になります。

  1. 源泉徴収した税額の納付
  2. 法定調書合計表の提出

a.源泉徴収税額の納付

源泉徴収税額の納期限は、利子を支払った日の翌月10日です。
翌月10日までに、所轄税務署へ源泉所得税を納付する必要があります。

この際に使用する納付書は、給与の源泉所得税の納付書とは異なる様式です。

  • 税務署で納付書を入手して手書きで納付する方法
  • e-Taxで申告したうえで電子納付する方法

いずれかの方法で対応することになります。


b.法定調書合計表の提出

利子を支払った年の翌年1月31日までに、
非居住者等に支払われる借入金の利子の支払調書」とその合計表を、税務署へ提出する必要があります。

一般的な税務ソフトは、この合計表に対応していないため、
手書きまたはe-Taxソフトによる作成・提出が必要になるケースが多いと思います。

e-Taxソフトは操作性にクセがあるため、
「手書きの方が早い」と感じる方も少なくないと思います。


以上、私自身の経験も踏まえながら、
台湾親会社への借入利子に関する税務上のポイントを整理しました。

少しでも参考になれば幸いです。