非居住者の不動産仲介手数料の消費税免税が廃止

これまでの制度

近年、海外居住者(非居住者)が日本国内の不動産に投資するケースが増加しています。
これに伴い、非居住者を顧客とする不動産仲介業者にとって、仲介手数料が「消費税の課税対象となるか否か」は非常に重要な実務論点となっています。

これまで、非居住者が日本国内の不動産を「売買・賃貸」する際の仲介手数料については、実務上「輸出免税」として取り扱われ、消費税は課されていませんでした。

一方、不動産の「管理」に関する役務提供については、従来より消費税法施行令第十七条に基づき課税対象とされてきました。(以下は関連する通達)

輸出免税の対象となるものから除かれる非居住者に対する役務の提供には、例えば、次のものが該当する。
(1) 国内に所在する資産に係る運送や保管

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/07/02.htm

ここで「保管(管理)」については明示されている一方、「仲介」については明文規定が存在しませんでした。
そのため、従来は解釈上、仲介手数料については輸出免税の適用対象とされてきた経緯があります。

税制改正

この取り扱いが、令和8年の税制改正により抜本的に見直されました。

非居住者に対して行う「国内不動産の売買、交換、貸借の代理または媒介」等の役務提供は、サービスの受領者の居住地にかかわらず「輸出免税の対象外(=課税取引)」となります。

適用時期: 令和8年10月1日以降に行われる資産の譲渡等から適用。

根拠規定: 消費税法施行令第17条第2項第7号に「国内に所在する不動産(不動産の上に存する権利を含む。 ) の売買、交換又は貸借の代理又は媒介」が追加予定。(官報 令和8年3月31日特別号外第17号149ページ)
以下、「消費税改正のお知らせ 令和8年4月」より抜粋

事業者が非居住者から依頼を受けて、当該非居住者の国内に所有する不動産を売却した際に受け取る仲介手数料等については、輸出免税の対象とされていましたが、非居住者に対して行う国内に所在する不動産等の売買、交換又は貸借の代理又は媒介といった役務の提供等については、その役務の提供等を受ける者の居住地にかかわらず、消費税の課税対象(輸出免税の対象外)とされました。
【適用開始時期】令和8年10月1日以後に行われる資産の譲渡等について適用されます。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/r08kaisei.pdf

今後の対応

今回の改正により、不動産の管理手数料に加えて、新たに仲介手数料も課税取引に含まれることになります。

実務上は、不動産会社が納税管理人となり、非居住者に代わって申告・納税を行っているケースも多く見受けられます。
そのため、令和8年10月以降は、以下の点に特に注意が必要です。

見積書・契約書の見直し

仲介手数料を「免税前提」で算定していないか、早めの確認が必要です。

税務処理の変更

非居住者本人(貸主等)および不動産会社(仲介業者)の双方において、
従来の免税処理から課税処理への切り替えが必要となります。

適用まで一定の猶予期間は設けられているものの、実務への影響は小さくありません。
また、消費税の簡易課税制度の選択についても、早めの検討が必要と考えられます。

当事務所では、非居住者向け不動産取引に関する税務対応についても承っております。
ご不明点等がございましたら、お気軽にご相談ください。