定額減税は世紀の愚策

【定額減税が開始】

令和6年6月、定額減税が始まりました。
定額減税は、本人と扶養の方の数に応じ、1人4万円(所得税3万円、住民税1万円)の税金を減額する政策です。
(年収2,000万円を超える方は定額減税の対象外です。)
単純に減税を喜んでいる方も多いと思いますが、我々税務に携わっている人間は、事務処理の煩雑さにウンザリしています。
これほどまでに無駄に手間がかかる政策は初めての経験です。
定額減税は、今世紀最悪の愚策だと感じています。

【給付なら良かったのに】

源泉所得税を減らすという無駄に手間がかかるやり方ではなく、1人当たり4万円の給付金を一括で支給すればよかったのにと思います。
それで全て済んだ話です。
毎月の源泉所得税や住民税から控除するというやり方は、大変な手間を会社の人事や市町村の住民税の係に負担させることになります。
給付金を配る方法は振込の手間が発生する。振込手数料が発生する。だから源泉所得税や住民税を減らした方が良いんだと言う人がいます。
その言い分は間違っています。
なぜなら、定額減税も結局は給付の手間が発生するからです。
定額減税についても、定額減税しきれないと見込まれる方に対する「調整給付」と呼ばれるものが市町村によって行われます。
新たに非課税世帯となる方に対しても給付が行われます。
また、結果的に定額減税しきれなかった方に対しても、不足額の給付が行われる予定です。
その給付の対象者の数は、かなりの数になるはずです。
非正規労働者や住宅ローン控除の適用を受けているサラリーマンなど、年間の税額が定額減税の額(1人なら3万円)に満たない方は決して少なくはありません。
そういった方達を選別する手間も発生します。

【年末調整でも良かった】

毎月の源泉所得税の調整ではなく、年末調整で定額減税に係る所得税をいっぺんに減額する。
このやり方でも良かったと思います。
人事や会計事務所にとっては、このやり方であれば年末調整の控除が1つ増えるだけだけですから、さほど大きな負担にはなりません。
毎月の源泉税から減税し、引ききれない金額を翌月に繰り越すという手間は無くなります。
毎月数千円手取りが増えるより、年末調整でまとめて数万円もらった方がうれしさが増すという人も多いと思います。

【減税メガネと呼ばれたかった】

定額減税は、事務負担をいたずらに増やすという点で愚かな政策であると言えます。
なぜ、これほどまでの愚策を強引に決めてしまったのか。
「増税メガネ」と呼ばれていた岸田さんが「減税」というワードを使用する政策を実施することによって、「私は増税メガネではない」と言いたかった。
また、当初7月の解散総選挙を見込んで、その前に減税を行っておきたかった。
巷ではそのような理由がささやかれています。
いずれにしても、政治家が、国民ではなく自分たちのことを第一に考えて実施した印象が強いです。

政治家のエゴに振り回されるのはウンザリです。

二度とこのような愚策を実施しないでほしいと強く願っています。

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