電子帳簿保存法の延期?

税制改正大綱が発表

12月10日、政府与党による令和4年税制改正大綱が発表されました。

内容的には、「予想よりもだいぶ小幅な改正にとどまった」というのが個人的な感想です。

住宅ローン控除については、改正後の0.7%の控除率では、控除率が金利を上回るという現象は解消されません。
予想よりもだいぶ甘い改正です。

心配された相続税と贈与税の一体化についても、「検討を進める」という内容にとどまっています。
今回は特に改正がなされないということでしょう。

さて、今回の大綱で一際注目を集めているのは電子帳簿保存法に関する内容です。
これについては、突然出てきた話なので驚かれた方も多いと思います。

電子帳簿保存法の改正】

令和4年1月から新しい電子帳簿保存法が始まります。
その中で特に影響が大きいのが電子取引データの保存に関する改正です。

簡潔に説明すると、令和4年以降、請求書や領収書を紙ではなくデータで受け取った場合には、そのデータを一定のルールに従って保存しなさい。という内容になっています。

その内容に関しては国税庁のパンフがわかりやすいです。→リンク

このルールというのが、金額でそのデータを検索できるようにしなければいけないという七面倒くさい内容になっています。
そのため、多くの事業者がその対応に苦慮しています。
その最中において、新しい電子取引データの保存に関するルールを延期するかのような文言が大綱に盛り込まれました。

【大綱の内容】

大綱の90ページに以下の記載があります。

(8)電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存への円滑な移行のための宥恕措置の整備

電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、納税地等の所轄税務署長が当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについてやむを得ない事情があると認め、かつ、当該保存義務者が質問検査権に基づく当該電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができることとする経過措置を講ずる。

大綱90ページ

言い回しが非常にわかりづらいですが、
「令和4年1月1日から2年間は、やむを得ない事情があり、かつ紙出力に対応している場合には、新しい電子取引データ保存のルールに従わないで良い。」
このようなことを言っていると解釈できます。

肝心なのは、この「 やむを得ない事情」というのが一体何かという点です。
それについて詳しい説明はありません。
今後の発表を待つ必要があります。

【発表が遅い】

電子取引データの保存に関する改正は、多くの事業者を悩ませています。
延期されるのであれば喜ばしいと感じる方が多いと思います。
しかしながら、まだ、どういう場合にルールを無視して良いのか詳細が全くわかりません。
新しい電子取引データの保存の方法については、予定通り準備を進めておいた方が良いと思います。

令和3年は残すところ後2週間です。
すでに準備万端整っている事業者の方も多いと思います。
政府は、もっと早く見解を示すことができなかったのでしょうか。
18歳以下の10万円の現金支給についても同じことを思いました。

直前になって方針を転換するのは、現場を混乱させるだけだと思います。

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