プログラマー時代の話

【就職活動】

約25年前の話です。
私は中央大学の商学部に在籍していました。
大学3年生の頃、税理士試験の勉強を始めました。
最初に勉強したのは財務諸表論です。
結局、大学在学中に科目合格をすることはできませんでした。

しかし、将来は税理士になるという強い意志があったため、就職活動においても将来税理士として活動する上でプラスになる経験を積みたいと考えました。
会計事務所に就職することが、実務経験を積む上で最良の選択だと今では思います。
ただ、その頃の私は、遠回りであってもIT企業で技術を身につけることが将来税理士として活動する上で大きなアドバンテージになるのではないかと考えました。
そこで、就職先として考えたのが、会計ソフト会社です。

最終的には会計ソフト会社にターゲットを絞って就職活動を行いました。
パッケージ会計ソフトや基幹系会計ソフトの会社の5社ほどの面接を受けました。
そして、そのうちパッケージ会計ソフトでは老舗の某社を就職先として選びました。
決め手となったのは、面接の時の面接官(後に社長となる方)が大学のゼミの先輩だったのでなんとなく親しみを感じたという点でした。

【プログラマーとして勤務】

新卒で某社に入社し、面接官だったゼミの先輩の管理する部署で働きました。
各種税務申告ソフトを開発する部署でした。所得税や法人税のパッケージソフトの開発に携わりました。
開発のために使用していたツールはVisualC++です。
プログラミングの知識は全くなかったので、入った当初は日々勉強でした。

しばらくして、入力画面や出力帳票の作成を行うようになりました。
入力画面は、決められたルールの元ですが、多少の自由度をもって設計することができました。
しかし、出力帳票は税務署が用意した用紙と寸分違わず同じものを作成しなければならないので大変でした。
0.1ミリ単位で計測して数字を打ち込んでいく感じです。
今はOCR技術が発達したので、あのような面倒な作業は無くなったのでしょうか?


結局、その部署で5年ほど開発の仕事に携わった後、会計事務所に転職することになりました。

【つまらなかった】

転職を決めた理由は、一言で言えば「つまらなかった。」
働くことが苦痛でした。
お客様の声を聞きながら作りあげていくという開発方法ではありませんでした。
複数の税理士の先生方が検証作業に携わっていたので、その声はソフトに反映されていましたが、
実際のユーザーの声はあまり開発の部署に届いていませんでした。
閉鎖された空間の中で作業をしていましたので、そのソフトをお客様が実際使っている姿は見たことがありませんし、電話等でお客様の声を直接聞くこともありませんでした。
たまに間接的に反応を聞くことはありましたが、不十分でした。
何のためにこんな細かい作業をしなければいけないんだろうと思うことが度々ありました。
それが積み重なって耐えられなくなりました。

【得たもの】

会計ソフト会社を辞めた後、会計事務所に転職しました。
会計事務所の業務は常にお客様と接しながら、お客様のために行う業務です。
自分がお客様のために作業をしたことが反応としてすぐ返ってきます。
とてもやりがいのある仕事です。

会計ソフト会社での5年間の勤務経験はつまらなかったが、得たものは多くあります。
特にエクセルの知識や細かい作業に忍耐強く取り組む力は
日々の業務に生かすことができていると思っています。

税理士でプログラマー経験のある人はなかなかいないと思いますので、
今後もその知識や経験を売りにしていきたいと思います。

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